ハーフは"半分"? 言葉は人間を作る 〜英文科が文法を学んで大坂なおみ選手のニュースを見た感想〜

  1. 議題と自己紹介

ここで述べたいことは2点

①ハーフ という言葉について

大坂なおみ選手への人種差別について

 

論文素人です。言いたいことをつらつらと書きます。

【ハーフ】

1. 半分

2. 試合の前半、後半

4. 混血の人

(出典・広辞苑無料検索)

 

私が本稿で話したいのは 【4. 混血の人】について。

例えば、父がアメリカ人で、母が日本人の子供のこと。

 

いいますよね。「ハーフなんだ?たしかにそう言われれば見えるわ!」とかって。

 

 

 

いきなり自己紹介。

 

私は大学で英文科でした。専攻は文法で、主語、述語とかのあれです。

なので、文化はさらっと講義で聞いたくらいです。

 

そんな私がはてブで 人種差別の問題について書く理由。 

英文科にいたら自然と黒人差別問題には触れるし、素人ながらに、黒人差別問題に抵抗する大坂なおみ選手について思うことがありました。

 

人種差別問題に関しては、もう少し勉強してから発言したいので、今回は彼女についてだけ述べます。

 

  2. 【ハーフ】の言葉に疑問を持った経緯

 

まず、【ハーフ】という言葉に疑問を持つ前、

日本生まれ、日本育ち、日本語母語話者として、納得して使っていました。

 

アメリカと日本を半分こずつ。

生物の授業の染色体の分裂などからも、【混血の人】を指す【ハーフ】という言葉はイメージにピッタリな言葉だと思っていました。

 

しかし、Sexy Zoneマリウス葉くんの一言で、私は疑問を持つように変わりました。

*彼は、ドイツ人の父と日本人(正確には中国と日本のハーフの方らしいです)の男性です。

 

とある番組内で、他のメンバーが「マリウスはハーフだもんね」と言うと

(マリウス)『ハーフっていうか、ダブル!ダブルなんだよ!』

 

当時、14才くらいで、甘えっ子なマリウスくん。

言葉のニュアンスは怒りではなく、知ってる?海外ではこう言うんだよ?です。当時の彼の口癖でした。

 

これを聞いた時、ハっとしました。

ダブル(倍)という言葉を聞いた瞬間、ハーフ(半分)という言葉がハーフの方に対して、配慮が欠けた言葉なんじゃないか。

 

 3. 英文科の文法の学び

冒頭で、私の専攻は文法だったといいました。

文化や歴史をテーマにしたならまだしも、関係なさそうな、この文法が本題の【ハーフ】に繋がります。

 

ざっくり、研究内容を言うと、英語と日本語を比較することで、それぞれの特徴をくっきりさせるやり方です。(比較研究)

 

英語と日本語の違いで有名な例としては、

英語は必ず主語 (I) がつくが、日本語は主語(私は)がなくても会話が通じる

あれです。

 

で、なぜそのような違いが生じるのか。を考えるところまでワンセットで研究していました。

 

ちなみに答えは簡単で、「世界の見方が違うから」なんです。言い換えると、脳の物事の捉え方が違うということです。

 

例えば、 家 と 人 があったら

英語を話す人は、「人」に視点が行って

日本語話者は、「家」に視点が行くんです。

 

話す言葉が違うだけで、同じものを見ていても、見ている視点が違うんです。

英語なら、動いているものに目がいくし、日本語は背景に目が行きます 

これは、脳が勝手に視点を変えるんです。*ここが重要

 

 4. 使う言葉が私の世界の見方を変える

やっと本題です。

 

・マリウスくんから学んだ、【ハーフ】と【ダブル】の違い。

・そして、文法での「母国語によって、脳が自動的に視点を変えている」

 

この2要素を混ぜると、私の「ハーフという言葉は配慮が足りない」という最初の気づきは浅はかだったと気付きました。

 

だって、脳が勝手に「半分と見なすんだもん」。

 

誰も悪くありませんでした。勉強不足とかそういうことではありません。

別に、ハーフの方を「半分しかない」というマイナスな意味で意図的に使っている訳ではありませんでした。

 

重要なのは、事実として、脳は自然に視点を変えます。

日本語が母国語か、英語が母国語か たったそれだけで、隣にいても、同じ風景を見ても、違うように映ることもあるということです。

 

5. 大坂なおみ選手のツイート

https://twitter.com/naomiosaka/status/1298785716487548928?s=20

 

見て欲しいのはリプライです。

私が思うに、大坂なおみ選手へのリプライを見ると、

彼女のことを【ハーフ】と捉えている方が目につきました。

【ダブル】ではなく、【ハーフ】。

 

先ほど述べた、日本語の意図的ではない、脳が勝手に認識する、あくまで表現上の「ハーフ」ではありません。*繰り返しますが日本語の「ハーフ」表現を否定するつもりはありません。ただの表現ですので。

ここでの【ハーフ】は意図的にマイナスな意味を含んでいます

 

そう感じたのは、今回と、彼女が日本人初全豪シングルス優勝をしたときの2回です。

大坂なおみ日本人初全豪シングルス優勝!世界1位へ - テニス : 日刊スポーツ

 

2019年の彼女の優勝は、最初は「日本人が初めて優勝!」と盛り上がりましたが、

すぐに、「彼女は日本人なのか」と議論が始まり、結局、もわっとした感じで盛り上がりが終わったように感じていました。

 

「彼女は日本人なのか」これこそが、【ハーフ】という差別を意識的にしていると感じていました。

 

そして今回も、「アジア人に差別が起きたらまたボイコットするの?」

 

この2件から私が考えることは、一人の女性を、もっと一人の女性として見るべきということです。

 

一人の女性の功績や意見対し、いつも「で、それはどっちの大坂なおみ」がつきまとっている。

日本人のなおみ?アメリカ人のなおみ?

 

彼女は、ただ一人の人です。

全豪シングルスで優勝した、素晴らしいテニスプレイヤー。

父の母国で、関わりが深い黒人差別問題が起きて、悲しんでいる一人の女性です。

 

どっちのなおみ?どちらも、すべてが大坂なおみさんです。

 

私たちは、今、遠いと思っていた人種差別の問題を考えるチャンスです。

大坂なおみさんという一人の女性の生き方が、日本にいる私たちにチャンスを与えています。